㉝【宅建業法】過去問・解説 広告に関する規制の応用:誇大広告・広告開始時期の制限を2問で攻略!(令和5年問31・平成30年問26)

こんにちは。外構工事の現場で「お客様に見せる仕上がり写真」には人一倍気を使ってきた、元職人の管理人です。令和7年の宅建試験に一発合格したときも、広告規制の分野は「当たり前の話」に見えて実は引っかけが多く、本番で焦った記憶があります。

前回の⑱では広告規制の基本(誇大広告の禁止・広告開始時期の制限・取引態様の明示)を解説しました。今回はその応用編として、実際の試験でどう「事例」として出題されるかを、令和5年問31と平成30年問26の2問でじっくり見ていきましょう。

今回のテーマ:広告規制の「事例問題」に強くなる

宅建業法の広告規制は、条文自体はシンプルです。

  • 誇大広告等の禁止(32条)
  • 広告開始時期の制限(33条)
  • 取引態様の明示(34条)

ところが試験では、この3つを組み合わせた「具体的なシチュエーション」で出題されます。「インターネット広告だから大丈夫」「注記をつけたから大丈夫」といった、一見もっともらしい言い訳が並ぶ選択肢に、正しく「ノー」を突きつけられるかがポイントです。


問題1(令和5年問31)

宅地建物取引業者がその業務に関して行う広告に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。なお、この問において「建築確認」とは、建築基準法第6条第1項の確認をいうものとする。

  1. 宅地又は建物の売買に関する注文を受けたときは、遅滞なくその注文をした者に対して取引態様の別を明らかにしなければならないが、当該注文者が事前に取引態様の別を明示した広告を見てから注文してきた場合においては、取引態様の別を遅滞なく明らかにする必要はない。
  2. 既存の住宅に関する広告を行うときは、法第34条の2第1項第4号に規定する建物状況調査を実施しているかどうかを明示しなければならない。
  3. これから建築工事を行う予定である建築確認申請中の建物については、当該建物の売買の媒介に関する広告をしてはならないが、貸借の媒介に関する広告はすることができる。
  4. 販売する宅地又は建物の広告に関し、著しく事実に相違する表示をした場合、監督処分の対象となるだけでなく、拘禁刑若しくは罰金に処せられ、又はこれを併科されることもある。

解説

選択肢1:誤り
取引態様の明示は「広告時」と「注文を受けたとき」の両方で必要です。お客様が広告をきちんと見てから注文してきたとしても、省略はできません。「広告で言ったから注文時は省略」という発想自体が誤りのパターンです。

選択肢2:誤り
既存住宅の広告で「建物状況調査を実施したかどうか」を明示する義務はありません。建物状況調査は重要事項説明(35条書面)などで説明すべき事項であり、広告の必須表示事項ではないという点を混同しないようにしましょう。

選択肢3:誤り
建築確認申請中(=建築確認を受ける前)の建物は、売買の媒介広告も、貸借の媒介広告も、どちらも禁止です。広告開始時期の制限(33条)が対象とするのは「売買その他の業務に関する広告」なので、貸借の代理・媒介の広告も含まれます。

広告開始契約締結
売買×
貸借×

※これに対して契約締結時期の制限(36条)は、建築確認前でも貸借の代理・媒介契約の締結自体は可能という違いがあります。ここは③との比較で頻出です。

選択肢4:正しい
誇大広告(著しく事実に相違する表示、実際より著しく優良・有利と誤認させる表示)を行った場合、監督処分(指示処分・業務停止処分)の対象となるほか、6か月以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、またはこれらの併科もあり得ます(宅建業法81条1号)。

正解:4


問題2(平成30年問26)

宅地建物取引業者が行う広告に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。

  1. 宅地の売買に関する広告をインターネットで行った場合において、当該宅地の売買契約成立後に継続して広告を掲載していたとしても、当該広告の掲載を始めた時点で当該宅地に関する売買契約が成立していなかったときは、法第32条に規定する誇大広告等の禁止に違反しない。
  2. 販売する宅地又は建物の広告に著しく事実に相違する表示をした場合、監督処分の対象となるほか、6か月以下の拘禁刑及び100万円以下の罰金を併科されることがある。
  3. 建築基準法第6条第1項の確認を申請中の建物については、当該建物の売買の媒介に関する広告をしてはならないが、貸借の媒介に関する広告はすることができる。
  4. 宅地建物取引業者がその業務に関して広告をするときは、実際のものより著しく優良又は有利であると人を誤認させるような表示をしてはならないが、宅地又は建物に係る現在又は将来の利用の制限の一部を表示しないことによりそのような誤認をさせる場合は、法第32条に規定する誇大広告等の禁止に違反しない。

解説

選択肢1:誤り
「広告を出した時点では契約が成立していなかった」という過去の事情は、言い訳になりません。売買契約成立後もインターネット広告を掲載し続ける行為は、実態のない物件情報を見せ続けるおとり広告に該当し、誇大広告の禁止に違反します。インターネット広告だから特別扱いされる、ということもありません。

おとり広告顧客を集めるために売る意思のない条件の良い物件を広告し、実際は他の物件を販売しようとする
虚偽広告実際には存在しない物件の広告

選択肢2:正しい
誇大広告を行った場合、監督処分(指示処分・業務停止処分)に加えて、6か月以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金(またはその併科)という刑罰の対象にもなり得ます。問題1の選択肢4と実質的に同じ内容が問われています。

選択肢3:誤り
問題1の選択肢3と同じ論点です。建築確認申請中の建物は、売買の媒介広告も貸借の媒介広告も両方禁止されます。「貸借ならOK」という誤りの型は繰り返し出題されるので、必ず押さえておきましょう。

選択肢4:誤り
誇大広告に該当する「誤認させる方法」に限定はありません。利用の制限があるのに、その一部をあえて表示しないことで誤認させる行為も、誇大広告に含まれます。「嘘を書いていないから大丈夫」という発想が誤りです。

正解:2


覚えるポイント:広告開始時期の制限 vs 契約締結時期の制限

この2問を通じて、繰り返し出てきた最重要ポイントを整理します。

広告開始(33条)契約締結(36条)
売買・交換許可等の後でなければ不可許可等の後でなければ不可
貸借(代理・媒介)許可等の後でなければ不可許可等の前でも可

未完成物件(造成工事・建築工事が完了していない宅地・建物)について、開発許可や建築確認などの処分を受ける前は、売買はもちろん、貸借の代理・媒介の広告も一切できません。ここが「貸借ならセーフ」という思い込みで間違えやすい最大のポイントです。

一方で、契約の締結については、貸借の代理・媒介契約に限り、許可等を受ける前でも締結できるという違いがあります。「広告」と「契約締結」を混同しないよう、セットで覚えましょう。

よくある勘違い

  • 「注記をつければセーフ」という勘違い:「建築確認申請中」「確認後に契約します」といった注記を入れても、許可・確認前の広告そのものが禁止されているため、違反は解消されません。
  • 「インターネットだから緩い」という勘違い:紙の広告もインターネット広告も、宅建業法の規制対象としては全く同じ扱いです。
  • 「貸借は例外」という勘違い:広告開始時期の制限では、貸借の代理・媒介も売買と同様に禁止対象です。緩いのは契約締結時期の制限(36条)の方だけです。
  • 「実害がなければセーフ」という勘違い:誇大広告は、実際に誤認した人がいたか、売買が成立したかどうかにかかわらず、表示をした時点で違反が成立します。

まとめ

今回扱った2問は、いずれも「誇大広告の禁止」「広告開始時期の制限」「取引態様の明示」という基本3規制の理解を、具体的な事例で試す問題でした。特に「建築確認申請中の建物は、売買も貸借も広告できない」という点と、「誇大広告は実害の有無を問わない」という点は、形を変えて繰り返し出題される超頻出ポイントです。条文の丸暗記ではなく、「なぜこのルールがあるのか(消費者保護)」という視点で理解しておくと、初見の事例問題にも対応しやすくなります。

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広告規制の基本(誇大広告・広告開始時期・取引態様の明示の全体像)については、こちらの記事もあわせてご覧ください。


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