外構工事の現場では「これは下請けの仕事か、自社の仕事か」で揉めることがよくありました。実は宅建業法にも似たような線引きがあります。「それ、宅建業にあたるの?免許いるの?」という判断問題、今回はそこを2問でじっくり攻略していきます。
宅建業の定義をサクッと確認
宅建業に該当するかどうかは、次の3つの要件をすべて満たすかで判断します。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| ① 宅地・建物 | 建物の敷地や、用途地域内の土地(道路・公園・河川等は除く) |
| ② 取引 | 自ら売買・交換、または売買・交換・貸借の代理・媒介 |
| ③ 業 | 不特定多数に対し、反復継続して行うこと |
ここで一番のひっかけポイントが「自ら貸借(自分が貸主になる賃貸)は『取引』にあたらない」という点です。何百戸貸そうが、これだけでは宅建業になりません。一方で、他人の物件を代理・媒介して貸借させる行為は「取引」に該当します。
それでは、この考え方を実際の過去問で使ってみましょう。
問題① (令和3年10月試験 問32)
宅地建物取引業の免許(以下この問において「免許」という。)に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、いずれの場合も、その行為を業として営むものとする。
- A社が、都市計画法に規定する用途地域外の土地であって、ソーラーパネルを設置するための土地の売買を媒介しようとする場合、免許は必要ない。
- B社が、土地区画整理事業の換地処分により取得した換地を住宅用地として分譲しようとする場合、免許は必要ない。
- 農業協同組合Cが、組合員が所有する宅地の売却の代理をする場合、免許は必要ない。
- D社が、地方公共団体が定住促進策としてその所有する土地について住宅を建築しようとする個人に売却する取引の媒介をしようとする場合、免許は必要ない。
ひと目で分かる!判定表
| 選択肢 | 行為の概要 | 取引にあたるか | 業として行うか | 免許 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | A社:ソーラーパネル用地の売買を媒介 | ×(宅地に当たらない) | – | 不要 |
| 2 | B社:換地を住宅用地として分譲 | ○(自ら売買) | ○ | 必要 |
| 3 | 農協C:組合員所有地の売却を代理 | ○(代理) | ○ | 必要 |
| 4 | D社:地方公共団体所有地の売却を媒介 | ○(媒介) | ○ | 必要 |
解説①
選択肢1:正しい 宅建業法上の「宅地」は、建物の敷地に供される土地、または用途地域内の土地が基本です。ソーラーパネルは「建物」ではなく工作物なので、用途地域外でソーラーパネル専用に取引される土地は宅地に当たりません。宅地に当たらない以上、宅建業の取引にも該当せず、免許は不要です。
選択肢2:誤り 「換地処分により取得した」という経緯は結論に関係ありません。住宅用地として分譲(=不特定多数への反復継続した売却)する以上、B社は免許が必要です。「競売により取得した宅地」など、経緯にそれっぽい理由をつけて惹かれそうになる典型的なひっかけパターンです。
選択肢3:誤り 免許が不要なのは国・地方公共団体・信託会社など、法律で定められた限られた団体だけです。農業協同組合にそうした特例はありません。「業として代理をする」以上、Cは免許が必要です。
選択肢4:誤り 地方公共団体自身が売却する分には免許は不要ですが、その媒介を行うD社は別人格です。D社が媒介を業として行う以上、免許が必要になります。「地方公共団体が絡んでいるから免許不要」と早合点しないことがポイントです。
正解①:1
問題② (平成19年試験 問32)
宅地建物取引業の免許(以下この問において「免許」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- Aが、競売により取得した宅地を10区画に分割し、宅地建物取引業者に販売代理を依頼して、不特定多数の者に分譲する場合、Aは免許を受ける必要はない。
- Bが、自己所有の宅地に自ら貸主となる賃貸マンションを建設し、借主の募集及び契約をCに、当該マンションの管理業務をDに委託する場合、Cは免許を受ける必要があるが、BとDは免許を受ける必要はない。
- 破産管財人が、破産財団の換価のために自ら売主となって、宅地又は建物の売却を反復継続して行い、その媒介をEに依頼する場合、Eは免許を受ける必要はない。
- 不特定多数の者に対し、建設業者Fが、建物の建設工事を請け負うことを前提に、当該建物の敷地に供せられる土地の売買を反復継続してあっせんする場合、Fは免許を受ける
ひと目で分かる!判定表
| 選択肢 | 行為の概要 | 取引にあたるか | 業として行うか | 免許 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | A:自ら売主として分譲(代理をFに依頼) | ○(自ら売買) | ○ | 必要 |
| 2 | B:自ら貸主としてマンション賃貸 | ×(自ら貸借) | – | 不要 |
| 2 | C:Bから借主募集・契約を受託 | ○(媒介) | ○ | 必要 |
| 2 | D:マンションの管理業務のみ | ×(管理は取引でない) | – | 不要 |
| 3 | 破産管財人:自ら売主として売却 | ○(自ら売買・特例) | – | 不要(特例) |
| 3 | E:破産管財人から媒介を受託 | ○(媒介) | ○ | 必要 |
| 4 | F:建設業者が土地売買をあっせん | ○(媒介類似) | ○ | 必要 |
関係をイメージで整理(選択肢2のケース)
選択肢2は登場人物が多いので、関係を図にしました。

Bは自分の物件を自分で貸す「自ら貸借」なので免許不要。Dは管理業務だけなので、そもそも宅建業の「取引」にあたりません。間に入って借主を探し契約までするCだけが、貸借の媒介として宅建業に該当します。
解説②
選択肢1:誤り Aは販売代理をF(宅建業者)に依頼していますが、A自身も「自ら売主」として分譲(不特定多数への反復継続売却)を行っています。代理を依頼したからといってAの免許が不要になるわけではありません。
選択肢2:正しい 上の図の通り、B(自ら貸主)とD(管理業務のみ)は宅建業に該当せず免許不要、C(貸借の媒介)のみ免許が必要です。
選択肢3:誤り 破産管財人自身が売主として行う売却は、裁判所の監督下にある特別な行為として宅建業に該当しません。しかし、その媒介を依頼されたEは、宅地建物の売却の媒介を反復継続して行うので、宅建業に該当し免許が必要です。「依頼主が免許不要だから依頼された側も不要」というわけではない点に注意しましょう。
選択肢4:誤り 建設業者だから、あるいは「請負契約が前提」だからといって特別扱いはありません。Fは土地の売買のあっせん(媒介に類する行為)を反復継続して行っているので、免許が必要です。
正解②:2
覚えるポイント
- 宅建業に該当するかは「①宅地・建物 → ②取引 → ③業」の順に、ひとつずつ機械的にチェックする
- 自ら貸借・自ら転貸借は「取引」に該当しない(最重要)
- 管理業務だけを行う者(マンション管理会社など)も宅建業に該当しない
- 免許不要の特例があるのは国・地方公共団体・信託会社など法律で決められた者のみで、農業協同組合・建設業者などに特例はない
- 「競売により取得」「破産管財人からの依頼」「請負契約が前提」など、経緯や理由付けは免許の要否に関係ない(依頼された側=代理・媒介をする者は、原則として免許が必要)
よくある勘違い
「自分の物件を貸すだけなら何でも免許不要」と覚えてしまうと、貸借の媒介・代理を頼まれた側まで免許不要だと誤解してしまうことがあります。免許が不要なのは「自ら貸主・自ら転貸人になる人」だけで、その間に入って契約をまとめる代理人・媒介業者には、通常どおり免許が必要です。「自ら」なのか「他人のために」なのかを、必ず人物ごとに分けて考えましょう。
まとめ
宅建業の定義は、宅建業法すべての土台になる部分です。①宅地・建物②取引③業の3要件と、「自ら貸借は取引にあたらない」という例外をセットで押さえておけば、免許の要否を問う問題はパターンが限られているので得点源にしやすい分野です。
次回㉚では、免許の基準・欠格事由(宅建業者になれない人・なれない法人の条件)を過去問で確認していきます。免許を受けられるかどうかという、定義の次に来る論点なので、今回の内容とセットで覚えておくと理解がスムーズです。
関連記事
- ②宅建業法 免許制度をわかりやすく解説!誰が免許を必要とするのか(免許制度の全体像を先に確認したい方はこちら)
- ⑪宅建業法 自ら売主規制(8種制限)をわかりやすく解説
(「自ら」がキーワードになる別の重要論点)
一緒に学んでいきましょう!
FAQ
Q. 自ら貸借(自分の物件を貸すこと)は本当に免許不要ですか?
A. はい。何百戸貸そうが、自分が貸主になる賃貸は宅建業法上の「取引」に該当しないため、免許は不要です。ただし、他人の物件の貸借を代理・媒介する場合は別で、免許が必要になります。
Q. マンションの管理会社にも免許は必要ですか?
A. 入居者募集や契約までは関与せず、清掃・設備管理・家賃徴収などの管理業務のみを行う場合は、宅建業の「取引」にあたらないため免許は不要です。ただし、管理会社が貸借の媒介や代理まで行う場合は免許が必要になります。
Q. 「競売で取得した」「破産管財人から頼まれた」など、特別な事情があれば免許は不要になりますか?
A. いいえ。取得の経緯や依頼の事情は免許の要否に影響しません。自ら売買・代理・媒介を反復継続して「業として」行うかどうかだけで判断します(破産管財人自身の売却行為のみ、裁判所監督下の特例として宅建業に該当しません)。

コメントを残す