㊵【宅建業法】過去問・解説 宅建業者間取引における規制の適用除外を2問で攻略!(平成25年問40・令和7年問28)

こんにちは。外構工事の現場では「元請・下請」というプロ同士の力関係がありましたが、宅建業法にも「プロ同士なら手加減不要」というルールがあります。それが今回のテーマ、業者間取引の適用除外です。㊵として過去問2問で仕上げていきましょう。

問題①(平成25年問40)

宅地建物取引業者Aが、自ら売主として買主との間で締結する売買契約に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。なお、この問において「保全措置」とは、法第41条に規定する手付金等の保全措置をいうものとする。

  1. Aは、宅地建物取引業者でない買主Bとの間で建築工事完了前の建物を4,000万円で売却する契約を締結し300万円の手付金を受領する場合、銀行等による連帯保証、保険事業者による保証保険又は指定保管機関による保管により保全措置を講じなければならない。
  2. Aは、宅地建物取引業者Cに販売代理の依頼をし、宅地建物取引業者でない買主Dと建築工事完了前のマンションを3,500万円で売却する契約を締結した。この場合、A又はCのいずれかが保全措置を講ずることにより、Aは、代金の額の5%を超える手付金を受領することができる。
  3. Aは、宅地建物取引業者である買主Eとの間で建築工事完了前の建物を5,000万円で売却する契約を締結した場合、保全措置を講じずに、当該建物の引渡前に500万円を手付金として受領することができる。
  4. Aは、宅地建物取引業者でない買主Fと建築工事完了前のマンションを4,000万円で売却する契約を締結する際、100万円の手付金を受領し、さらに200万円の中間金を受領する場合であっても、手付金が代金の5%以内であれば保全措置を講ずる必要はない。

正しいものを選んでください

解説

  • 1.誤り。 未完成物件の保全措置に使えるのは「保証」と「保険」のみです。「指定保管機関による保管」は完成物件専用なので、この選択肢は誤りです。
  • 2.誤り。 保全措置を講じる義務を負うのは、自ら売主となる宅建業者(A)だけです。媒介・代理業者(C)が講じても、Aの義務がなくなるわけではありません。
  • 3.正しい。 買主Eが宅建業者なので、業者間取引として8種制限(手付金等の保全措置)は一切適用されません。保全措置なしで手付金を受領できます。
  • 4.誤り。 手付金100万円自体は5%以内でも、中間金200万円と合わせた「手付金等」の合計300万円が5%(200万円)を超えるため、中間金受領前に保全措置が必要です。

正解は3です。

問題②(令和7年問28)

宅建業者の業務に関する次の記述のうち、宅建業法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。

ア 自ら売主として販売する宅地又は建物の広告に取引態様の別を明示しなかった場合は、罰則の対象とはならないが監督処分の対象となり、宅地又は建物の規模について著しく事実に相違する表示をした場合は、罰則の対象にも監督処分の対象にもなる。

イ 自ら売主として土地付建物の売買契約を締結しようとする場合、当該土地上に建てようとする建物が建築確認申請前であっても、広告することはできるが、建築確認を受けるまで、契約を締結することはできない。

ウ 宅建業者は、自ら売主として、宅建業者である買主との間で、自ら所有しない造成前の宅地の売買契約を締結するためには、法第41条の規定による手付金等の保全措置を講じ、かつ、売主である宅建業者が当該宅地を取得する契約を締結しなければならない。

エ 宅建業者は、宅地の売買の専属専任媒介契約を締結した場合、当該媒介契約締結の日から5日以内(休業日を除く)に、当該宅地について指定流通機構に所定の事項を登録しなければならない。

正しいものはいくつあるか、選んでください

解説

  • ア.正しい。 広告関連の規制で罰則の対象となるのは誇大広告の禁止違反のみです。取引態様の明示義務違反は監督処分の対象にとどまります。
  • イ.誤り。 売買の場合、建築確認を受けるまでは契約だけでなく広告も禁止です(貸借の媒介・代理なら契約は可)。
  • ウ.誤り。 買主も宅建業者なので、業者間取引として8種制限(手付金等の保全措置を含む)の適用はありません。「保全措置を講じなければならない」という記述自体が誤りです。
  • エ.正しい。 専属専任媒介契約は、契約締結日から5日以内(休業日を除く)に指定流通機構への登録が必要です。

正しいものはアとエの**「二つ」**です。

覚えるポイント:業者間取引で外れる規制

宅建業法78条2項により、次の規定は「宅建業者相互間の取引」には適用されません。

分類適用除外となる規制
自ら売主制限(8種制限)クーリング・オフ/損害賠償額の予定等の制限/手付の額の制限/手付金等の保全措置/契約不適合責任の特約制限/他人物売買の制限/割賦販売の解除等の制限/所有権留保の禁止
その他媒介契約の規制(33条の2)※媒介契約書面の交付義務など

一方で、35条書面(重要事項説明)や37条書面(契約書面)の交付義務は、相手が宅建業者であっても原則として省略されません(35条書面は説明そのものは不要になるが、書面交付は必要、など細かい違いがあるので要注意)。「業者間取引=すべてフリー」ではない点がひっかけポイントです。

判断フローの図解

売主は宅建業者か?
 ├ いいえ → そもそも8種制限の対象外
 └ はい
   └ 買主は宅建業者か?
     ├ はい → 8種制限は一切適用なし(自由に特約可)
     └ いいえ → 8種制限フル適用(消費者保護)

よくある勘違い

  • 「代理・媒介業者が保全措置を講じたから大丈夫」ではありません。義務を負うのはあくまで自ら売主となる宅建業者本人です。
  • 「業者間取引だから重要事項説明も37条書面もいらない」は誤りです。適用除外となるのは8種制限と媒介契約の規制(33条の2)などに限られます。
  • 「買主が業者っぽい」だけでは判断できません。問題文で「宅地建物取引業者である買主」と明示されているかを必ず確認しましょう。

まとめ

宅建業法の8種制限は「売主=業者、買主=業者以外」の組み合わせで初めて発動するルールです。買主も宅建業者であれば、消費者保護の必要がないため適用除外となります。ただし35条書面・37条書面など、業者間でも残る義務があることを忘れずに整理しておきましょう。

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