㊲【宅建業法】過去問・解説 報酬額の制限の応用:低廉な空家等の特例・組み合わせ計算問題を2問で攻略!(令和元年問32・令和6年問28)

こんにちは。外構工事の現場では、見積書の一円単位のズレでもお客様から厳しくチェックされたものですが、宅建業法の「報酬額の制限」も似ていて、数字を一つ間違えると一発で違反になります。元外構職人で、令和7年に宅建試験を一発合格した管理人です。

以前の記事では報酬額の基本ルールを扱いましたが、今回は本試験で頻出の「計算が絡む応用問題」を2問取り上げます。焦らず一つずつ数字を追っていけば、決して難しくありません。一緒に整理していきましょう。


問題1:令和元年問32(低廉な空家等の特例・あっせん料金)

【問題】 宅地建物取引業者A(消費税課税事業者)が受け取ることのできる報酬額に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、誤っているものはどれか。

  1. 宅地(代金200万円。消費税等相当額を含まない。)の売買の代理について、現地調査等の費用が8万円(消費税等相当額を含まない。)要するなど、当該代理に要する費用を勘案し、報酬額について売主Bに対して説明し、合意していた場合には、AはBから660,000円を上限として報酬を受領することができる。
  2. 長期の空家等に該当しない事務所(1か月の借賃110万円。消費税等相当額を含む。)の貸借の媒介について、Aは依頼者の双方から合計で110万円を上限として報酬を受領することができる。
  3. 既存住宅の売買の媒介について、Aが売主Cに対して建物状況調査を実施する者をあっせんした場合、AはCから報酬とは別にあっせんに係る料金を受領することはできない。
  4. 宅地(代金200万円。消費税等相当額を含まない。)の売買の媒介について、現地調査等の費用を要するなど特段の事情がない場合でも、報酬額について売主Dに対して説明し、合意していた場合には、AはDから330,000円を報酬として受領することができる。

選択肢ごとの解説

選択肢1(正しい) これは「低廉な空家等の売買に関する特例」の適用場面です。

適用要件本肢の状況
代金800万円以下(税別)○ 代金200万円
費用について説明・合意あり○ 現地調査費用8万円について合意済み
媒介の場合30万円(税別)以内代理の場合はその2倍が上限

代理の場合、媒介の限度額(33万円・税込)の2倍である66万円(税込)まで受領できます。 660,000円(税込)≦660,000円(税込)なので、この金額での受領は適法です。

選択肢2(正しい) 事務所(居住用建物以外)の貸借なので、貸主・借主双方から合わせて借賃の1か月分(消費税込み)まで受領できます。 110万円(税込)÷1.1=100万円(税抜)が借賃本体で、消費税を加えると110万円が上限額です。特例が絡まないシンプルな計算ですが、「双方合計で1か月分」という原則を正しく覚えているかがポイントです。

選択肢3(正しい) 報酬限度額を超えて受領できるのは、①依頼者の依頼による広告料金、②依頼者の特別な依頼による特別の費用(遠隔地調査など)に限られます。建物状況調査のあっせん料金はこのどちらにも該当しないため、報酬とは別に受領することはできません。

選択肢4(誤り=これが正解) 特例が使えるのは「費用を勘案する必要がある」場合に限られます。本肢は「現地調査等の費用を要するなど特段の事情がない場合」なので、特例は適用されません。

通常の計算式で報酬を求めると、 200万円×5%=10万円 消費税を加えて、10万円×1.1=110,000円

これが正しい上限額です。330,000円という金額は特例を(本来使えないのに)適用した場合の数字であり、誤りとなります。

正解:4


問題2:令和6年問28(組み合わせ問題・免税事業者と権利金計算)

【問題】 宅地建物取引業者A(消費税課税事業者)及び宅地建物取引業者B(消費税免税事業者)が受領した報酬に関するアからウの記述のうち、宅地建物取引業法の規定に違反しないものの組合せは1から4のうちどれか。なお、代理、媒介に当たり、広告の依頼は行われていないものとする。また、貸借の代理又は媒介をする宅地又は建物は長期の空家等には該当しない。

居住用建物(1か月の借賃12万円。消費税等相当額を含まない。)について、Aは貸主から代理を依頼され、Bは借主から媒介を依頼され、Aは貸主から6.7万円、Bは借主から6.5万円を報酬として受領した。なお、Bは、媒介の依頼を受けるに当たって、報酬について借主から特段の承諾を得ていない。

宅建業者Bは、事業用建物について、貸主と借主双方から媒介を依頼され、借賃1か月分10万円(消費税等相当額を含まない)、権利金90万円(権利設定の対価として支払われる金銭であって返還されないもので、消費税等相当額を含まない)の賃貸借契約を成立させ、貸主と借主からそれぞれ5万円を報酬として受領した。

宅建業者Aは、土地付建物について、売主と買主双方から媒介を依頼され、代金3,500万円(消費税等相当額を含み、土地代金は2,400万円である)の売買契約を成立させ、売主と買主からそれぞれ110万円を報酬として受領したほか、売主の特別の依頼に基づき行った遠隔地への現地調査に要した実費の費用について、売主が事前に負担を承諾していたので、売主から9万円を受領した。

記述ごとの解説

ア(違反する) Aは代理なので、居住用建物の借賃1.1か月分まで受領可能。12万円×1.1=13.2万円が上限なので、6.7万円は問題ありません。

問題はBです。Bは媒介であり、居住用建物なので原則は依頼者の一方から借賃の0.55か月分(特段の承諾があれば1か月分まで可)。しかもBは免税事業者なので、上乗せできるのは4%です。

12万円×0.5×1.04=6.24万円

これがBの上限であり、6.5万円を受領したのは宅建業法違反です。

イ(違反しない) 事業用建物(居住用建物以外)なので、権利金を売買代金とみなして報酬計算をすることが認められています。

権利金90万円をベースに計算すると、 90万円×3%+6万円=33万円(免税事業者なので1.04を乗じる) 33万円×1.04=343,200円

これは貸主・借主双方の合計の上限です。双方から5万円ずつ、合計10万円の受領であれば、上限額を大きく下回っており適法です。

ウ(違反しない) まず報酬計算の基準となる代金を確認します。3,500万円は消費税込みで、土地代金2,400万円には消費税がかからないため、建物代金部分の税抜き価格を求める必要があります。

建物代金(税込)=3,500万円-2,400万円=1,100万円 建物代金(税抜)=1,100万円÷1.1=1,000万円 代金全体(税抜)=2,400万円+1,000万円=3,400万円

報酬計算:3,400万円×3%+6万円=108万円 消費税を加えて、108万円×1.1=1,188,000円

これが媒介報酬の上限(片方から)であり、110万円の受領は上限内で適法です。 さらに、売主の特別な依頼による遠隔地調査の実費9万円は、事前の合意があれば報酬とは別に受領できるため、これも問題ありません。

正解:2(イ・ウの組み合わせ)


覚えるポイント

  • 代理は媒介の2倍:低廉な空家等の特例も、貸借の1か月分ルールも、代理はすべて媒介の限度額の2倍が基準になります。
  • 免税事業者は+4%、課税事業者は+10%:消費税の扱いを見落とすと、答えが丸ごとズレます。
  • 権利金は事業用建物のみ使える裏ワザ:居住用建物には使えません。「事業用」「権利金」という言葉が出たら計算方法の切り替えを疑いましょう。
  • 報酬とは別に受領できるのは2種類だけ:①依頼者の依頼による広告料金、②依頼者の特別な依頼による特別の費用。それ以外(あっせん料金・文書作成費など)はすべてアウトです。
  • 税込・税抜の変換を忘れない:土地には消費税がかからず、建物にはかかる点が、令和6年問28のような複合問題で必ず狙われます。

よくある勘違い

「免税事業者だから消費税は関係ない」と思い込むミスが非常に多いです。免税事業者であっても、仕入れにかかる消費税相当額を回収する目的で4%の上乗せが認められています。「免税=上乗せなし」ではない点に注意しましょう。

また、「低廉な空家等の特例」は、費用が実際に発生していない場合には使えません。「800万円以下だから自動的に高い報酬がもらえる」わけではなく、あくまで費用を勘案した結果である、という前提を忘れないようにしてください。

まとめ

報酬額の応用問題は、公式を覚えるだけでなく「税込・税抜」「課税・免税」「媒介・代理」という3つの軸を正確に整理できるかが勝負です。落ち着いて数字を一つずつ追えば、決して難問ではありません。

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次回予告

次回㊳では、宅建業法の「業務に関する禁止事項」の応用問題を取り上げる予定です。手付貸与や不当な履行遅延など、実務感覚が問われる分野なので、こちらもぜひチェックしてください。

一緒に学んでいきましょう!


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